「全員そこを動くな!」 そういえば誰かがこのセリフを口にしていたな。 須藤はそう思いながら手にした拳銃を和渡と八戸に向けた。 ホールドアップした二人を見ながらキッチンへと向かい、 食器棚から青酸カリの入った小瓶を取り出す。 和渡と八戸は知りすぎた。 愛理のデータの回収もしなければ。 怯える二人に須藤は無理矢理青酸カリを飲ませた。 悶え苦しみ和渡と八戸は死んだ。 「誰かが誰かを殺そうとした青酸カリで不特定多数が死んだんだ」 須藤は後の取り調べでそう主張した。 同僚の口利きや、隠ぺい癖のある日本の警察のお陰もあって、 うやむやなままではあるが事件の捜査は打ち切られた。 釈然としないだろうが、現実の事件なんてそんなもんだ。 ドラマや映画のように全てが綺麗に解決する事件なんてそうそうない。 日々起こる事件を細かく解決するほど日本の警察は暇じゃない。 須藤はここ数日の取り調べの鬱憤を晴らすべく、 ヒットタイドへ向かう電車へと乗り込んだ……。 ~ fin ~
遊んでいただきありがとうございました。以上で本編は終了です。