不躾に注がれる二人の疑いの視線。 八戸はその視線に耐えられなくなってダイニングを飛び出した。 『どうして!どうして私が殺した事になるの! 私は殺してない!殺そうとしただけ!』 八戸は自室に入ると鍵を閉めた。 扉を叩く音と同時に八戸を呼ぶ声がする。 『畜生!畜生!畜生!これも全部愛理のせいだ! 死んでもまだ私を苦しめるのか!』 『嫌だ!嫌だ!嫌だ!こんなところで無実の罪を着せられて、 私の人生を終わらせるわけにはいかないのよ!』 八戸の頭に深く記憶された指南書のページがめくられていく。 彼女は自分の荷物の中からバールのようなものを取り出し、扉の取っ手側に身を潜めると鍵を開けた。 彼女の部屋の様子を伺うために須藤の頭が入って来た瞬間、須藤の頭目掛けて思いっきりバールのような物が振り下ろされた。 倒れ込む須藤。八戸は扉を大きく開け、須藤の後ろで驚いている和渡の腹部目掛けてバールのようなものを突き刺す。 くの字になった和渡の頭部目掛けて再びバールのようなものを振り下ろす。 『まだ生きているかもしれない』 そんな強迫観念に取りつかれた八戸は、 須藤と和渡の頭部や体を何度も何度もバールのようなもので殴り続けた。 人里離れた別荘で、肉塊を潰す音が鳴り響いていた……。 『では、次のニュースです。S県T市にある、個人所有の別荘で、男女合わせて4人が何者かに殺害されているのが発見された事件で、新たに今日、4人のうち2人がバールのようなもので殴られたことによる……』 ~ fin ~
遊んでいただきありがとうございました。以上で本編は終了です。